ポール・オベリスクの使い方
私の経験上最も難しい誘引とはポール仕立ての場合です。特に太枝性の品種をポールに巻きつけるには枝を捩りながら株元へ押し戻す感覚で枝にタメを付け曲線を作りながら行わなければならず、必ず 2 名は必要でした。一人は紐で結わえる係りに専念します。枝に捻れとタメを作っています。手を離せば元に戻り無理すると枝を折る恐れがあるからです。
ポール仕立ての場合も太い枝から誘引に入ります。また太い主幹、ベイサルシュート、サイドシュートは必ず一定の方向へ巻きます。これを交差させることは物理的にきわめて困難な事柄で必ず上に重ねた枝を折る事になります。太い枝はねじり押し戻し下へ押し付ける様な感覚で巻いてゆく、これが最良の安全策です。太い枝の誘引が済んだら今度は反対向きに残った枝を誘引します。太さの順に巻き始め、枝先がバランス良く配置できる様に心がけます。
ポール仕立ては頂芽優勢を崩して開花を得るのではなく、剪定した枝先により開花を得る事に近いのです。株元に近い部分からポールの先端まで均等に枝先が配置されていれば、枝先には開花が起こるわけでバランスのよい開花状況が眺められる様になります。
ポール仕立ての場合、頂芽優勢を崩し開花を得るには仕立てるポールの直径が必要で大きくないと効果は上がりません。狭い場所で多数のつるバラを栽培するにはポール仕立てが向きます。私が担当した状況でのポールは杉丸太を素材としていたため枝を巻きつけても枝先にしか開花は起こりませんでした。先輩からは根性が足りんやら精神がねじまがっているなどの指摘を受けましたが。私自身は太枝性の大輪種をこの仕立てにするには若干の疑問を覚えます。小輪中輪咲きの花付の多い品種が向いています。