うどんこ病の防除

黒星病が水の存在で感染が拡大するのに対し、うどんこ病は空気伝染で感染します。うどんこ病の特徴は若葉や蕾などの新梢の柔らかな部分にのみ感染を見るところにあります。ちょうど黒星病の裏返しの様な部分があります。

うどんこ病の症状

うどんこ病は新梢 = 生長点に発生します。発生が重なると深刻な成育障害を受けることとなります。葉に発病すると葉が裏側に軽く回り込む様になります。進行すると柔らかな新芽や葉に白く粉をかけた様な症状が出ます。

うどんこ病の薬剤散布

黒星病と異なる点は治療薬が存在する事です。発病初期に対処すれば確実に治す事が出きます。しかし優れた治療薬の存在にも関わらず煩わしい病気であるのは、これも保護皮膜、ワックス効果に深く関わりが有ります。

 

バラの新芽部分が黒星病に感染しにくいのは、ワックス効果を持つ新芽部分が水を弾くからです。この為優れた薬剤が有ってもうどんこ病が治らない理由は薬が患部に付着しないからです。なぜ付着しないかと言えば水で希釈した薬剤は新梢の持つワックス効果により弾かれてしまうからです。どの様な薬剤でも水で希釈する以上、結果は同じです。

 

ワックス効果を持つ新梢の患部に薬を密着させる役割を負うのが展着剤です。展着剤を加えた薬剤は噴霧器による一吹きで新梢の患部に薬剤を密着させる効果を持っています。またこの様な状態を作らなければうどんこ病を治す事はできません。うどんこ病に於ける展着剤の働きとは、薬剤の生殺与奪権を持つ程重要な存在なのです。

予防薬の種類

ミラネシンが抗生物質として非常に効果の高い薬剤であったのですが、残念ながら製造販売が終了してしまいました。同じく抗生物質にはポリオキシンがありますが、効果はミラネシンには及ばないようです。

 

トリフミンは現在市販されているうどんこ病予防治療薬では最も効果の高い専門薬です。サルバトーレは黒星病にも予防効果を持つ薬剤で、うどんこ病にも高い予防効果を有します。バイコラールは黒星病の項でも取り上げた効果が高い広範囲の殺菌剤で、うどんこ病にも卓効を示します。バイレトンはうどんこ病の専門薬で、安価で予防薬として優れています。カリグリーンはカリ分を含む専門薬で安全性の高い薬剤です。予防薬として用います。

展着剤

うどんこ病に対しての展着剤としては「まくぴか」の製品名で市販されている展着剤が最も優れております。葉や茎の表面に滲むように展張する効果を持っており、薬剤の汚れを最小限に押さえる効果と散布ムラを作りにくい特性も併せ持ちます。薬液使用量も低く抑えられうどんこ病対策には理想的な展着剤です。しかしバラや花木類での登録を取っていないので、現時点での使用は認められていません。

 

スカッシュは新芽部分に付着する力と皮膜を作る能力に優れ、予防薬と併用すると効果的です。ニーズもうどんこ病予防薬と併用すると効果が高いとされる展着剤です。アプローチは広く使用される展着剤で、浸透移行性を持ち総合的展着剤として評価が高い剤です。

 

予防薬と適切な展着剤を組み合わせる事でうどんこ病は確実に押さえ込む事ができます。しかしうどんこ病の厄介なところは感染しやすい新梢が常に生長を継続している事です。薬剤散布の間隔が仮に 10 日間隔で有った場合、散布ののち新たに伸長した部位はうどんこ病に対し無防備状態である事が想定されます。次の薬剤散布までの間に感染する可能性と危険度は、厳密に考えれば高いのです。

賢い展着剤選び

様々な機能を持つ展着剤があり、目的に沿った使い分けをする事で高い相乗効果を得る事ができます。黒星病の皮膜効果とうどんこ病に求められる展着効果、双方の性質を併せ持つ展着剤で優れた展着剤であれば心配はありません。私は機能の異なる2種類の展着剤を併用しています。

 

展着剤は濃度に対して注意も必要で、濃すぎると薬害を生じます。特に複数の展着剤を組み合わせる場合は、各々が異なる特性を持つ物を組合せます。展着効果の高いもの同士を組み合わせると場合により薬害を生じます。

 

展着剤による薬害は散布した株の葉全体に及び、全滅状態になります。散布ムラを防ぐために行う行為が最悪の状態を招く場合も有りますので、展着剤の濃度と機能を重複させぬよう配慮をしておきましょう。


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