バラの鉢栽培

バラの鉢栽培
グルス アン テプリッツ

バラの鉢植えは難しくはおまへん。殆んど全てのバラを栽培する事が可能です。私のバラ園の苗木は全て鉢栽培でお客様へお届けしています。原則として全てのバラは鉢で栽培する事が可能です。

 

つるバラの鉢栽培は四季咲き品種以上に簡単です。用途に関しては鉢栽培と露地栽培との大きな違いは有りません。樹形の特徴を活かして無理の無い使い方を心がけます。露地栽培では伸びすぎて枝の処理に困惑する品種でも、鉢栽培はコンパクトに収める事が可能です。この点は鉢栽培ならではの利点です。反面枝の伸び方が緩やかで、管理方法により生育に格段の差が生じることがあります。

 

鉢栽培は培養土と施肥管理、潅水など栽培管理が非常に大きなウェートを占めてきます。なかでも限られたスペース内で植物の成長や開花をまかなう役割の培養土が、鉢栽培では重要なポイントになります。

 

培養土で大切なポイントは保水力と通気性、保肥力の 3 つです。

 

保水性は灌水の後、土の中に含まれる水分の量と、時間の経過と共に減少する速度の問題です。保水性は土の種類により異なります。最も保水力の高いのが粘質土、逆に保水力に乏しいのが砂になります。理想は保水力が高く排水性の良い培養土です。

 

赤玉土は保水力が良くてしかも団粒構造をしているため、排水性に優れています。最もバラに適した土であると言えます。粘質土は排水性の改善が必要で、赤土に少量混和して使う方法が一般的です。

 

砂は排水性に優れています。砂も品質により異なりますが保肥力に乏しい欠点を持ちます。保水性と保肥力を高めれば植物を栽培するのには適しています。砂を使った培養土の長所は、根腐れを起こさないこと、凍結による変形や変質の少ない事です。

 

保水性を高めるには堆肥など有機質を混入する方法が一般的です。また土壌改良剤として長繊維質ピートモス、椰子の実チップ等の混入も効果的です。保肥力を高める方法としては、市販のバーミュキュライトやゼオライトなどの改良材を培養土に混ぜる方法と、元肥を混ぜ、保肥力の不足を補う方法とが有ります。

 

培養土の水はけが悪いと致命的な成育障害をひき越します。渇きは灌水により補うことが出来ますので、排水性の良い培養土に心がけ、乾いてくれる培養土を目指します。また鉢の材質により培養土の微調整も必要とされます。

 

培養土と一緒に混ぜて使う肥料は、元肥専用のものを使います。ドレスコート、マグカリン、マグアンプ K 等が代表的な元肥専用の肥料です。各々適量を混ぜれば 6 ~ 12 ヶ月肥料切れを起こさず、保肥力を補う意味においても、健全に育てるためにも鉢栽培には欠くことのできない必須事項です。 バラの大きさと鉢サイズの関係も培養土の種類と関連します。小さい鉢で大きく育てるなら保水力が高く保肥力に優れた土が適しています。赤土に荒木田土の様な粘質土を加え、調整した物に有機質、腐葉土か堆肥に牛糞を加えた培養土にし、鉢は素焼き鉢より乾きにくいプラスティック鉢を使います。

 

つるバラを大きく育てる場合は、予め枝の良く伸びる品種を用意し、少し大きめの鉢で水はけに注意をした培養土を使います。バラに対して鉢が大き目の場合は、バラの吸収する水分以上に土の中に残り、根腐れや成育不良の原因になりかねません。

 

鉢底に大き目の軽石やパーライトなどを敷き、水はけの一助とする事が行なわれますが、小さな限られた容積しか持たない鉢では不要とも考えられます。鉢底に細かい土や緻密なものを敷かない限り、排水不良となる事は少ないと思います。

 

鉢底には根が集まり易いので、私は長繊維ピートモスを薄く敷いています。稲藁を敷く場合も有ります。根の張り易いものを鉢底に用いると良い結果が得られます。

 

鉢栽培も固く植えつけるか柔らかく植えつけるかで乾燥度合いに変化がでます。雑巾の絞り方に例えると分かり易いのです。水に浸した雑巾を軽く絞るか固く絞るかで雑巾内の水分には差が出ます。バラの場合は比較的固めに植え付けをします。バラの根は乾湿の反復により、伸長をします。乾いて湿って、乾いて湿っての繰返しによりバラは成長をしています。

 

灌水を行なった時、土に吸着される水分と吸着されなかった水分がでます。吸着されなかった水、過剰水は鉢底の穴から流れ出ます。培養土を通過する水は土に吸着され、団粒構造により余剰な水分が過剰水として鉢の外へと流れ出る様になっています。この透水性の良い事が、水はけの良い土であります。 

肥料は大別すると二つの種類があります

バラの鉢栽培
ハイジ

元肥として使う「く溶性」の肥料。培養土に混ぜ根に触れて吸収される特徴を持ちます。水に急激に溶ける事は無く、ある一定の水分濃度の場合に溶け出す様に計算されています。水分が多すぎれば流亡し、少なければ肥料濃度は高くなり、障害となります。植物の根が一番吸収しやすい水分濃度の時に溶け出す様に作られてます。種類により若干の差異があります。

 

○○○コートと表記された元肥は肥料にコーティングを施し、さらにピンホールを空けて成分の溶け出す速度の調節をしているタイプの元肥専用肥料です。く溶性と水溶性双方の性質を持たせたタイプの肥料です。 元肥専用といっても適応力に優れたものが多く、土の表面に撒いて長期需続する肥料として使用するケースもあります。鉢土の表面に撒いても効果は得られます。

 

鉢土の表面に施す肥料は水溶性の物を施します。水は溶媒の役割を負っています。灌水を施すと土表面の肥料分が溶け水と共に根に吸収されます。水に溶け出す量、濃度、期間は製品毎に異なります。鉢栽培に適した肥料を選んで使います。一般作物用の肥料を鉢栽培に施すと、肥料あたりを起こす恐れがあります。

 

施肥を有機質と無機質(化成肥料)とに別けて考える事が一般的ですが、あまり意味はありません。化成肥料でもマグアンプ K やドレスコートの様な優れた肥料があり、化成肥料は的確に使用すれば効果の高い優れた肥料です。

 

用土の上に置く肥料に油粕と骨粉を固形にした肥料が有ります。この形態は鉢内の培養土全体に根を張らせる様な配慮がなされています。鉢の中で根の伸びる方向は外側下方です。鉢に阻まれ根は鉢底をグルグル回り上には上がって来ません。培養土全体を使うためには鉢土の表面に長期に効き続ける肥料があれば根は肥料を求めて根を伸ばします。レバートルフや花ごころの固形肥料は、培養土を万遍なく使うためにもなります。

 

鉢栽培にお勧めできる肥料は他に大粒の化成肥料があります。化成肥料は小粒で本来鉢に用いる事は不可なのですが、大粒の化成肥料は溶け出し方が非常に緩やかで、根に障害を与える事は殆んどありません。効きが良く 1 ヶ月以上効果が続き、後に残らない優れた肥料で「IB 化成」が代表的な肥料です。他にも同等の効果を持つ製品があり、簡便で効果の高い肥料です。

 

灌水は朝晩の温度の冷涼な時間帯に行い、日中は避ける様に書かれるのが普通。常識的にはそうなのかも知れません。しかし実際にはこれを守っているプロは一人もいないと思います。気温の高い状態でバラの活動が良くなるので有れば、根もある一定の温度状態に保つ事で相乗効果が得られる様に思います。従って根は冷やさぬ方が良い、灌水は根や培養土の温度を奪います。温度が保て易い日中に灌水をし、奪われた温度をすぐに取り戻せるよう配慮することが望ましいと言う結論になります。


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