つるバラのトンネル
トンネルはつるバラに包まれて中を通る人の気持ちを幸せにします。トンネルは構造的には簡単で、基本的にはアーチの連続形です。間口は狭くとも歩を進める毎に変化する景色や香りの楽しみはトンネル仕立てならではのものです。
トンネル全面を花で覆う作例
概要
メッシュフェンスを両サイドパイプアーチの下部分に使い空間の緊密性を演出します。パイプアーチの足元付近をメッシュフェンスで固定を図り、構造的にも強い状態を作る事ができます。トンネルは直線とは限りません。緩く曲線を描くトンネルも捨てがたい味わいを持ちます。
誘引は二通りの考え方があります。トンネル内を日陰と考え誘引を行なえば、トンネルを構成するパイプアーチ上部へ枝を誘引し、トンネル外側部分は花で埋め尽くします。トンネル内側はひんやりとした空間で人の居心地は良くなります。
植付ける場所は株元が目立たない場所へ大きく伸びるつるバラを植えます。全体を覆うためには両サイドへ植え付ける必要があり、人目に付き易い手前はオールドローズなど枝が長く伸び難い品種を使います。ローズロマンティックなど四季咲きバラで枝を長く伸ばす品種は適正があります。
作例
パイプアーチとメッシュフェンスでトンネルの骨組みを作ります。メッシュフェンス 1 枚にアーチを 2 本入れる程度の間隔にします。パイプアーチを土中に挿し込み、その後メッシュフェンスを固定します。フェンスも少し土中に入れると強度が増します。
アーチ部分のみ花で覆う作例
概要
つるバラの枝をアーチ部分に集中して誘引することで空間を楽しむ方法です。花は空間に向かって咲いてきます。
トンネル内は人の歩くスペースとして確保された空間、暗くならないように配慮する事も重要です。上部を枝で塞ぐと内側からは花が見れません。程度にもよりますがバランスが大事です。
枝をパイプのアーチ部分にだけ留めるとトンネルの内からも花を楽しむことが出来ます。
枝の誘引を上部すべてに渡って行うとトンネル内は暗くなり、内側からの花を観賞することは出来なくなります。
作例
つるバラの枝をアーチ部分に集中して誘引することで枝のない空間が出来ます。花はこの空間に向かって咲いてきます。
錯視美術活用の作例
パイプアーチを手前から大・中・小と間隔を開け並べて設置する。
概要
錯視美術とは、人の視覚における錯覚を利用した手法です。私達は絵画の中で遠近法として身近に接しています。
お庭で遠近法に基づく錯視美術を考えてみると意外と活用できる事に気がつきます。例えば、同一の形をしたアーチを大きさを違えて3本並べます。手前から大、中、小と設置し庭に奥行きを出す手法などがまず考えられます。
使用する植物も手前には葉や茎などが大きい品種。徐々に小さい植物を使います。バラであれば、手前は枝が太く葉も大きく、大輪系の品種を使います。奥は枝が細く小輪咲きで葉も小型の品種を使います。
作例
コーナー活用の作例
フェンスに面した L 字型をした場所があったら、こんなトンネルは如何でしょう。パイプアーチの間口は 950mm、1m 間隔に立てました。
メッシュフェンスを下に組み合わせる事でパイプアーチの安定性を高めてあります。視覚的にも安定感を持つようになり、通路としての空間の密度を高める効果を持ちます。
固定はアルミ線、18 番位の太さがあれば充分です。何重かに巻いておきます。針金なら 20 番位の細さでないとカッチリ巻けません。メッシュフェンスの切断には、番線切り、ワイヤーカッターを使います。
ホームセンターで少し大きめで 5 ミリの丸棒が切断できそうな物を問い合わせて下さい。パイプの切断はチューブカッターが大変便利です。何れもホームセンターなどで質問、問合せをされると分かります。安価な製品で充分だと思います。
概要
左右のトンネルの交わる部分には一寸お茶を楽しめる場所造りをしてみました。曲線を描いているのはメッシュフェンス、手で曲げています。硬そうにに見えますが意外と簡単に曲がります。極端な曲線にならない様に力の入れ方に気をつけてください。根気強く丹念にアールを付けて、所定の長さに切断して固定しています。
このトンネルの場合はこの場所が中心的な位置づけとなり、ビューポイントとしての気合を入れて、作りました。
手前側になるメッシュフェンスには後ろ側のつるバラの枝を下垂、誘引します。手前につるバラを植えると逆効果、株元を手前に植える事となり、繊細な線が出ません。
背の高くなるデルフィニームやジキタリスなど支柱を必要とする草花を咲かせるのに適しています。バラなら四季咲きの品種がお勧めです。草花を組み合わせるとより効果的です。
作例
通路はレンガや敷き石、下草などを組み合わせて作ってください。テーブルや椅子は高価なもので無くても、アイディア次第で心地よい空間を演出することが出来ます。
写真に写っているのはテーブルクロスやクッションなど布地を使った例です。布地の柔らかさは庭での表現手段として非常に新しい感覚です。生地や色や柄など多様な素材を組み合わせる事により、固定された庭の雰囲気を一瞬で変化させる素材であると思います。その日の気温や陽光や風の気分を感じながら庭の演出をする事が出来ます。
今回の写真は中心部に円を使いましたが、直角に組んでも非常に面白い形です。少々場所が必要ですが、1m の幅があれば何かしら出来てくると思います。